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最近、精神疾患、特にうつ病を患った従業員についての相談が増えてきました。
①うつ病になり、休職処分をとったが休職期間が満了してしまう、退職して欲しい
②うつ病になり、休職と復職を繰り返す従業員がいる、退職して欲しい
というケースがほとんどです。
これらのケースでは、トラブルを避けるために慎重な対処が求められる一方で、会社として退職を含む毅然とした対応をする必要があります。
本ページでは、弁護士が「うつ病で出退勤を繰り返す社員への対応」を解説いたします。
目次
就業規則に休職規定が無ければ、そもそも休職処分はできません。
ほとんどの会社が、一定期間の欠勤→一定期間の休職→退職との規定をおいています。是非就業規則を見直してください。
欠勤期間、休職期間ですが、あまり長い期間を定めることはおすすめしません。
また、欠勤、休職期間中の給与についてですが、これも6割の給与を支払うなどの規定をおいている会社が多いですが、これもおすすめしません。
うつ病の場合は、欠勤、休職が長期に及ぶ場合が多く、会社が思わぬ負担を強いられることになります。
復職と休職をくりかえす従業員がでてくるのは、会社が給与を支払うからですからです。
健康保険によっては、傷病手当金が支給されるので、それを活用したらいかがかと思います。
また、会社指定の医師の診断を命じることができるとの就業規則の規定を定めるべきです。
後に述べるとおり、従業員の主治医は、得てして従業員の希望に流されるような意見を述べがちだからです
うつ病などによる解雇、労災(自殺)の訴訟では、労働時間の長短が重視されます。
労働時間が長かった従業員が欠勤がちになったりした場合は注意が必要です。
1ヶ月あたり残業時間が80時間を超えていた場合は、さらに注意する必要があります。
業務によりうつ病に罹患したと認定される可能性がかなり高いです。
意外に感じる方もいるかもしれませんが、私はまずこれが第一であると考えます。
会社は敵ではなく味方であるということを理解してもらう必要があります。
本人同席の下、主治医に事情を聞きに行ったり、場合によっては病院を紹介することも有効です。
従業員の家族とも頻繁に連絡を取ってください。ただし、がんばれなどとの励ましは禁句です。うつ病患者にはそれは逆効果になります。
先ほども述べたとおり、主治医は、従業員の希望に流されがちな意見書、診断書を書く傾向があります。
復職可能との診断書を持参したとしても、主治医に連絡し、会社従業員の業務内容を詳しく説明し、復職可能なのか問い合わせるべきです。
主治医が復職可能と判断しても、会社が復職不可能と判断することも可能です。
この場合、会社指定の医師の診断を受診させるべきです。
このあたりのやりとりは後に裁判になった場合、きわめて重要になるので、事前に専門家に相談することをおすすめします。
よくある事例です。法的には軽作業しかできないのでは、復職可能な程度に回復したとはいえません。
ただし、復職当初は軽作業につかせるか、程なく通常業務に復帰できるという回復ぶりならば、復職を認めざるを得ないと思います。
解雇・退職勧奨の解決事例として、当事務所では以下のようなものがございます。
どのようにして弁護士と共に、解雇・退職勧奨に際して生じるトラブルを解決するのかのご参考にしてください。
また、労働問題で起きる代表的なトラブルや弁護士に相談すべき理由について解説した記事もございますので、ぜひご一読ください。
使用者側の労務トラブルに取り組んで40年以上。700社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題社員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。
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この記事の監修者:向井蘭弁護士
杜若経営法律事務所 弁護士
弁護士 向井蘭(むかい らん)
【プロフィール】
弁護士。
1997年東北大学法学部卒業、2003年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。
同年、狩野祐光法律事務所(現杜若経営法律事務所)に入所。
経営法曹会議会員。
労働法務を専門とし使用者側の労働事件を主に取り扱う事務所に所属。
これまで、過労死訴訟、解雇訴訟、石綿じん肺訴訟。賃金削減(就業規則不利益変更無効)事件、男女差別訴訟、団体交渉拒否・不誠実団体交渉救済申立事件、昇格差別事件(組合間差別)など、主に労働組合対応が必要とされる労働事件に関与。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、労働関連誌への執筆も多数
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