リーダー、首謀者は誰か

リーダー、首謀者は誰か

ストライキのリーダー、首謀者は実は分からないことが多い。

日本の場合、労働組合法が整備されていることにより、労働争議の首謀者、リーダーは明確であることが多く、交渉相手に迷うことは少ない。

一方、中国では、報復を恐れて複数名が交渉相手になったり(場合によっては経営者側が裏で加担していたり)、もしくは形ばかりの工会(労働組合)の代表者を全面に出している場合が多い。そのため、リーダー、首謀者が最後まで分からないことが多く、労働者側の最終決定権限者が誰かが分からず交渉が長引く原因の一つになる。

仮にリーダー、首謀者が誰であるか明確であれば、労働者側の意図を引き出しやすくなり、経営者側と一対一の交渉で収束を図ることができる。

冒頭の第1の部分で述べたようにストライキが起きる原因は様々であるが、従業員たちの様々な考えをまとめ会社に要求することもそれなりの連絡作業が必要であるので、「首謀者の居ない自発的なストライキ」はありえない。

従い、ストライキが起きた際に、会社側は様々な状況から分析し首謀者をいち早く特定することが重要である。場合によって、ストライキを解消するために首謀者を懲戒解雇することも考えざるを得ない。

ただ、一方で、中国で今流行っている「ウェイシン」などの携帯アプリの利用で従業員たちは容易に情報を共有することが簡単にできるようになるので、首謀者の特定や証拠収集などはより一層難しくなるのが実情である。

従い、ストライキの初期段階(初日目か二日目)で現地スタッフや弁護士をチームとして結成し情報収集や証拠集めなどの作業に力を入れることが必要である。

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この記事の監修者:向井蘭弁護士


護士 向井蘭(むかい らん)

杜若経営法律事務所 弁護士
弁護士 向井蘭(むかい らん)

【プロフィール】
弁護士。
1997年東北大学法学部卒業、2003年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。
同年、狩野祐光法律事務所(現杜若経営法律事務所)に入所。
経営法曹会議会員。
労働法務を専門とし使用者側の労働事件を主に取り扱う事務所に所属。
これまで、過労死訴訟、解雇訴訟、石綿じん肺訴訟。賃金削減(就業規則不利益変更無効)事件、男女差別訴訟、団体交渉拒否・不誠実団体交渉救済申立事件、昇格差別事件(組合間差別)など、主に労働組合対応が必要とされる労働事件に関与。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、労働関連誌への執筆も多数

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