事業縮小の場合の中国の法制度

労働審判の活用による局面打開

採算悪化等を理由に全体から人数を減らしたり、一事業部門を閉鎖・縮小したり、事業所の一部門を他拠点に移転する場合がある。

労働契約法第41条は①労働契約法第41条所定の事由があり(生産、経営が極めて困難になった場合当)、②削減人員数が20名以上または企業従業員総数10%以上の場合は、③使用者は30日前までに労働組合又は全従業員に対し状況を説明し、④労働組合又は従業員の意見を聴取後に⑤人員削減案を労働行政部門に報告した上で⑥人員削減を行うことができると定め、一定規模以上の人員削減に厳しい要件を課している。

一方、削減人員数が、20人未満でかつ企業従業員総数10パーセント未満の人員削減の場合は、労働契約法41条は適用されないため、この場合、労働局に報告する必要はない。この場合は、労働契約法40条第3号を根拠に従業員と交渉することになる。

また、同第40条第3号と同41条第1項第4号はともに「労働契約締結時に依拠する客観的状況に重大変化が生じること」を実体要件としている。

本来は異なる条文に定められている実体要件であるため、違う意味をもつとも考えられるが、実際に判例上及び労働局の解釈によれば、両者の区別ははっきりとしない。

そのため、実務では両者は同じ意味をもつものとし、単なる人数要件と手続き要件が違うものであると考えられている。

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この記事の監修者:向井蘭弁護士


護士 向井蘭(むかい らん)

杜若経営法律事務所 弁護士
弁護士 向井蘭(むかい らん)

【プロフィール】
弁護士。
1997年東北大学法学部卒業、2003年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。
同年、狩野祐光法律事務所(現杜若経営法律事務所)に入所。
経営法曹会議会員。
労働法務を専門とし使用者側の労働事件を主に取り扱う事務所に所属。
これまで、過労死訴訟、解雇訴訟、石綿じん肺訴訟。賃金削減(就業規則不利益変更無効)事件、男女差別訴訟、団体交渉拒否・不誠実団体交渉救済申立事件、昇格差別事件(組合間差別)など、主に労働組合対応が必要とされる労働事件に関与。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、労働関連誌への執筆も多数

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