下請会社からの団体交渉申し入れを拒否したとして不当労働行為救済申立てがなされたものの、申立てに対する棄却命令を獲得した事例

 

【業種】    製紙業
【解決方法】  労働委員会での不当労働行為救済申立て
【結果】    棄却命令

 

お問い合わせ状況

下請会社からの団体交渉の申し入れを拒否したところ、団交拒否の不当労働行為だとして労働委員会への不当労働行為救済申立てがなされた事案についてのご相談でした。

 

当事務所の対応と結果

従前からの状況のヒアリング

お客様の会社が下請け会社の労働条件決定などに関与するようなことがあったか否かなど、審理における中心的争点になると予想される点について事前に詳細なヒアリングを行いました。

 

不当労働行為救済申立て審査対応

会社は下請け会社の労働者の労働条件につき支配決定できる地位になかったということの主張立証を具体的事実に照らして行いました。

 

その結果、棄却命令の決定を得ることができました。

 

本案件のポイント

使用者は、労働組合からの団体交渉を正当な理由なく拒むことは労組法上禁止されています。本件では、当該下請会社の労働者にとって元請け会社が「使用者」にあたるかという点が争点となりました。

 

最高裁判例に照らすと、雇用主以外の事業主であっても、「その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位」にある場合には、「使用者」にあたるものとされています(最判平7.2.28・朝日放送事件)。

 

本件にあたって、お客様の会社は下請会社の労働者の労働条件につき「現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位」にはなかったということを具体的事実に即して主張立証を行い、上記の結論を得ることができました。

使用者側人事労務を専門的に扱っている弊所では、このような労働組合法独特の論点にまつわる紛争も多く扱っております。

 

労働組合問題に直面された際には、是非ご相談ください。

 

 

労働問題には専門的な知識が必要です。まずは弁護士にご相談ください。

使用者側の労務トラブルに取り組んで50年以上。700社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題従業員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。
 
今回ご紹介した企業様からは裁判終了後も当事務所との顧問契約を継続していただいており、賃金制度設計の見直しや日頃の労務管理についてのアドバイスをさせていただいております。労働紛争は目の前の紛争事件の解決のみではなく、紛争が解決した後に同じような問題が起こらないようにフォローすることも重要になります。
 
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この記事を執筆した弁護士

杜若経営法律事務所 弁護士
向井蘭(むかい らん)

出身地:
山形県。
出身大学:
東北大学法学部。

企業法務を専門とし、解雇・雇止め・未払残業代・団体交渉・労災など、使用者側の労働事件を数多く

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