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目次
業種 | 医療系 | |
従業員数 | 50名未満 | |
解決方法 | 通常訴訟(裁判上の和解) | |
結果 | 請求額 | 解決金 |
約900万円 | 約150万円 |
医療関係のお客様から自然退職となった労働者が自然退職後にご相談でした。
当該労働者は、就業時間内の不就労、個人情報の杜撰な管理、業務指示の拒否等の問題があった労働者であり、別の業務内容または就労場所の変更を打診したところ、これを受諾せず、メンタルヘルスを理由に休職となりました。その後、休職期間満了にて退職となりましたが、自然退職の効力発生から約2年の経過後、事前の交渉もなく、突然、労働審判が定期されました。
労働審判内では、申立人労働者へ配置転換を打診するに至る程度の業務遂行上の問題点があることに加えて、申立人労働者には、配置転換の打診の前から、メンタルに不調をきたしていた疑いがあることや、自然退職後、2年間にわたり何も争わず、退職後に別の使用者と雇用契約を締結し、就労を開始しており使用者に復職し働く医師がないこと等について、時系列表やお互いの主張の食い違いを表の形式で整理するなどの工夫をした50頁を超える書面で詳細に反論をしました。
労働審判においては裁判官から使用者から申立人労働者のへの指示内容、申立人労働者が提出した一部のカルテの記載や自然退職後の期間の経過、他の使用者における就労といった点を考慮すると、使用者側の行為とメンタル疾患の発症に因果関係があったと認定することは困難である旨の心証が開示されました。
この心証を踏まえて、申立人労働者が自然退職日をもって退職していたことを確認した上で、請求金額から約8割を減額した内容で、和解となりました。
メンタルヘルスが関係する事案は、発症の原因となりうるものは多岐にわたるため、発症の原因が業務に関係がするものであるか、それ以外の別事情により発症したものかという点が問題となることが多いです。
このような事案では、どのような事実がいつあったかという点の立証が非常に重要になります。また、使用者側から主張をするべき事実も膨大となるため、書面も長文化しやすい傾向にあります。
そのような事例においては、裁判官に対して、発生した事実関係を端的にわかりやすく伝える工夫をしなければ、裁判官から納得を得ることはできません。この事案では使用者側からの反論書面において、時系列表を用いて事実の経過を端的に説明すると共に、申立人と使用者の間で事実関係の主張に食い違いがある箇所を双方の認識を併記する表(弊所においては認否表と呼ぶ整理表を使用しています)を活用することで視覚化したことが事実関係の整理に効果を発揮し、結果として、裁判官の理解にもつながったものと考えられます。
また、退職後、長期間が経過してから争いとなる事案では、請求をする申立人労働者に使用者の元で、就労する意思と能力が必要となると解釈されています。
本件では、自然退職後に長期間の就労の申し出がなかったことや他の使用者の元で就労をしている点を申立人労働者が依頼者の元に復職し、就労をする意思がないという法律構成で使用者側から反論をしたことが、裁判官が使用側に有利な心証を示した理由の一つと考えられます。
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