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労働契約法上第41条は「使用者は30日前までに労働組合又は全従業員に対し状況を説明し、労働組合又は従業員の意見を聴取後に、人員削減案を労働行政部門に報告したうえで人員削減を行うことができる」と定めている。
実際には、法定解除と合意解除のための手続きを同時に進めることが多かったり、労働契約法第41条にもとづかない人員削減を行わない場合も多い。定型化するのは難しいが労働契約法第41条にもとづく人員削減の場合の一つの流れは以下の通りとなる。
人員削減の基本的な流れは上記のとおりであるが、全従業員説明会を開催するべきか(工会が社内にある場合は人員削減の際、全従業員に対する説明会の開催は法律上要求されていない)、どのタイミングで開催するべきかは、状況に応じて判断する必要がある。
すなわち、労使関係、人員削減内容によっては、全従業員説明会をきっかけにストライキ集団紛争が生じることがよくあるからである。以下、選択肢を3つ挙げて検討する。
工会が存在しかつ協力的で秘密保持に問題が無い場合は、全従業員説明会開催までに人員削減案の内容が漏れず混乱が起きない可能性が高い。
また、労働局の受理通知書を取得することで、いわば人員削減案について一種の御墨付きを得たこととなり、全従業員説明会での人員削減案の説明に説得力が出る。
そのため、会社が工会に人員削減案を説明し工会から意見を受領した後に労働局に人員削減案を報告し受理通知書を取得してから、全従業員説明会を行う。
選択2は、工会説明会を行った後にすぐ情報漏れるリスクを防ぐため全従業員説明会を行う考えである。
実務では選択2と選択3はそれほど大きな差がないので、工会メンバーの働きを余り期待できなければ、むしろ選択2の進め方を優先的に考えるべきである。
実務では、選択1を考える際に、工会説明会を行ってから労働局の承認を取得するまで、法的に一定の時間を待たなければならないことがあるため、その間に従業員側に不穏の動きが出たらすぐ全従業員説明会を行ったほうがいい。
上記選択1のとおり、労働局の受理通知書を取得した後に全従業員説明会を開催することが理想的であるが、人員削減案の情報が従業員に漏れ集団紛争に発展する可能性がある場合は受理通知書を取得する前に正確な情報を伝えるべく全従業員説明会を開催することになる。
労働局がどのような判断基準にもとづいて、人員削減案の受理を決めるのかは明確な法律上の規定はない。
実務上、労働局が、連続当期赤字や営業利益がマイナスであることを求めることがある。
また、労働局が赤字回復、人員削減回避のための努力も求め、経費削減、臨時工を減らすなどの施策を実施したかについても要求したことがある。
各地の労働局によって人員削減案に記載すべき内容が異なるため、事前に企業所在地の労働局に確認する必要がある。
上海市においては、「上海市人力資源*社会保障局による雇用主が法律に従い人員削減報告を実施することに関す通知」(滬人社関発〔2009〕3 号)によって、人員削減案の記載内容には、人員削減数や、人員削減数の従業員総人数に占める比率、人員削減名簿(氏名、身分証明書、労働契約期限)、経済補償金の準備情況、赤字回復、人員削減回復のための努力についての情況説明などが含まれる。
全面撤退の場合も一部人員削減の場合も、合意解除を目指す場合は個別面談をして退職勧奨を行うことになる。
詳しくは次号で述べるが、多くの中国人従業員は面子を重んじるため退職勧奨の進め方には工夫が必要である。
また、法定解除の準備を進めつつ、面談では、合意解除が従業員にとって最善の方法であり、法定解除の場合よりも有利な条件で退職すること(法定の経済補償金よりも上乗せして支払う場合)が可能であることなどを丁寧に説明することになる。
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この記事の監修者:向井蘭弁護士
杜若経営法律事務所 弁護士
弁護士 向井蘭(むかい らん)
【プロフィール】
弁護士。
1997年東北大学法学部卒業、2003年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。
同年、狩野祐光法律事務所(現杜若経営法律事務所)に入所。
経営法曹会議会員。
労働法務を専門とし使用者側の労働事件を主に取り扱う事務所に所属。
これまで、過労死訴訟、解雇訴訟、石綿じん肺訴訟。賃金削減(就業規則不利益変更無効)事件、男女差別訴訟、団体交渉拒否・不誠実団体交渉救済申立事件、昇格差別事件(組合間差別)など、主に労働組合対応が必要とされる労働事件に関与。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、労働関連誌への執筆も多数
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