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法定解除のメリットは、労働者の同意を得ることなく雇用契約を解消することができることである。
法定解除のデメリットは、要件が厳しく、法定解除が無効となるリスクがあることである。
例えば、法定解除の各制度には以下の要件が課せられている。
①労働契約法41条 ・労働局に対する報告などの法定手続が必要 ・時間がかかる ・対象者に制限がある ・人数制限がある ②労働契約法40条③ ・事前告知が必要 ・労働者との協議が必要 ・対象者に制限がある ③労働契約法44条⑤ ・解散の場合のみ ・労働局の意見が必要(解散清算による人員削減は、法的に労働局に報告する必要はないが、一部の地方では、近年、労働者の集団騒動を未然に防ぐため、商務部門に解散申請を行う前に事前に労働局の意見を取得するようにしている。) |
また、労働者の同意を得ることなく雇用契約を解消することから、労働者が感情的になり法定解除に納得せず、法定解除の有効性を労働仲裁、訴訟などで争うリスクもあるし、ストライキなどの集団紛争を引き起こすリスクもある。
集団紛争を引き起こす場合、たとえ使用者が法に従って解雇手続きを行ったとしても、社会の安定を求める政府部門は使用者に妥協させることが多い。
従って、法定解除でも、解雇人数が多い場合、上述のリスクを回避するため、使用者は所在地の労働局に事前に照会し、折衝を行う必要がある。
合意解除のメリットは、法定手続・事前告知が不要であること、対象制限が無いこと、合意解除成立後は適法性が争われる可能性が少ないこと、法定解除と比べ恨みが残りにくいことである。
合意解除のデメリットは合意解除の成立に従業員の同意が必要であるため、ケースによっては、従業員が解除に同意しない場合は交渉の主導権を従業員が握り、過大な要求をされることがある。
交渉を成立させるには交渉を持ちかける側に相手を譲歩させる何らかの手持ちカードが必要である。
手持ちカードもなく交渉に臨んでいては、相手を譲歩させることは難しい。人員削減の場合、会社側が合意解除を成立させるためには、有効な手持ちカードを持つ必要がある。
一番有効な手持ちカードは有効な法定解除を行える準備を整えていることである。
いかに従業員側が過大な要求を行ったとしても、有効な手持ちカードがあれば、従業員側も最終的には譲歩せざるを得ない。
使用者側の労務トラブルに取り組んで40年以上。700社以上の顧問先を持ち、数多くの解決実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演は年間150件を超え、問題社員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。
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この記事の監修者:向井蘭弁護士
杜若経営法律事務所 弁護士
弁護士 向井蘭(むかい らん)
【プロフィール】
弁護士。
1997年東北大学法学部卒業、2003年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。
同年、狩野祐光法律事務所(現杜若経営法律事務所)に入所。
経営法曹会議会員。
労働法務を専門とし使用者側の労働事件を主に取り扱う事務所に所属。
これまで、過労死訴訟、解雇訴訟、石綿じん肺訴訟。賃金削減(就業規則不利益変更無効)事件、男女差別訴訟、団体交渉拒否・不誠実団体交渉救済申立事件、昇格差別事件(組合間差別)など、主に労働組合対応が必要とされる労働事件に関与。近年、企業法務担当者向けの労働問題に関するセミナー講師を務める他、労働関連誌への執筆も多数
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